箱根ガラスの森美術館 ヴェネチアン・グラスミュージアム  
 
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ヴェネチアン・グラスの歴史

   

古代ローマ帝国時代
ヴェネチアン・グラスの歴史は、古代ローマ帝国(前1〜5世紀)のローマン・グラスから始まるといわれます。革命的発明の「吹きガラス技法」により、当時すでにイタリア半島全域には多くのガラス工房が作られ、その技術や製品は全世界に広まりますが、やがて西ローマ帝国の崩壊(476年)とともに、急速に衰えます。

 

リアルト島
8世紀に入ると、当時のヴェネチア共和国の中心はリアルト島へ移動し、島内各地での教会や聖堂の建設ラッシュに伴い、ガラス工房も多くこの島へ移ったとされています。

 

ガラス業界の活況
1078年にはサン・マルコ大聖堂の再建が始まり、全壁面にガラス・モザイクが施されたり、当時の文献には、ガラス製造の慣例と規則に違反した罪で29人のガラス工人に罰金刑が課されたことの記載もあり、ガラス業界の活況が想像される時代です。

 

政府の保護と管理
13世紀に入ると、1268年にヴェネチア・ガラス同業組合が結成されたり、シリアのガラス最大の産地アンティオキアとのガラス素材原料の輸入契約、燃料の管理合理化のための薪の政府直轄統制、夏期操業の禁止など、政府の積極的介入が強化されます。そして1291年には、ヴェネチア共和国政府の保護の下、『ガラス製造業者および工人・助手、家族等のすべてをムラノ島に集中的に移住させ、島外に脱出する者には死罪を課す』という厳罰体制での管理が始まり、その後のヴェネチアン・グラスは、ムラノ島を中心として発展していくことになります。

 

ヴェネチアン・グラスの最盛期
13〜14世紀には、特にエナメル彩色の技法とデザインなどに、ビザンチンやイスラムなどの影響を強く受けながら発展し、15世紀に入ると、イタリア・ルネサンスを背景にさらに円熟します。16世紀後半には、ダイヤモンドポイント彫り、レース・グラス、クリスタル・グラス、アイス・クラック・グラス、マーブル・グラスなどの、繊細で華麗な新しい技法が続々と生み出され、いろいろな形態や機能のガラス作品が造り出され、ヴェネチアン・グラスは最盛期を迎えます。

 

繁栄の翳り
14世紀以来、地中海貿易の独占、イタリア・ルネサンス繁栄の恩恵などで、一時はヨーロッパ市場の90%を占有するほどに成長したヴェネチアのガラス産業も、17世紀に入ると、イギリスの鉛クリスタル・グラスの発明、神聖ローマ帝国のボヘミアン・グラスの育成、水晶彫りバロック・グラスの流行などで、危機に直面します。イギリスやボヘミア(現チェコスロバキア)に対抗するためにこの時代に作成されたのが、過剰装飾ともいえる龍脚の装飾ステムや、アップリケ装飾を多用した華やかな作品です。

 

苦難の時代
18世紀に入るとヨーロッパでは新しい産業主義が興り、各国は自国産業保護のために輸入品の高率関税化を始め、ガラス生産国では輸出の激減、ガラス工場の倒産など、ムラノ島もその例外ではありませんでした。ムラノ島ではこの苦境を乗り越えるために、より細密なモザイク製品、教会の内装や装身具の製作、アフリカや東南アジアへの輸出など、あらゆる努力がなされます。しかし、1797年にはヴェネチア共和国解体により、政府のガラス産業庇護の時代が終焉、10年後の1806年にはムラノ島で500年続いた由緒あるガラス職人組合が解散を余儀なくされます。

 

ヴェネチアン・グラスの近代化
途方に暮れるムラノ島のガラス産業でしたが、新しい時代が動き始めます。19世紀を迎え近代化の道を踏み出していた時代は、新しい産業や教育の舞台として、美術館・博物館・資料館作りのブームを生み出します。博物館などの建設には不足する古い資料を必要とし、ムラノ島の名工たちは、古代作品の復刻作りに活路を見い出します。その後、他国のガラス産業には真似のできない色ガラスを基本としたガラス・モザイク技術による古い教会壁画の修復、インテリア部門などの新しいジャンルの開拓など、苦難の時代からの新たな出発が始まりました。そしてムラノ島でも、近代的な生産工場の建設、閉鎖的な体質の改善、子弟教育機関の設置、ガラス博物館の建設、展覧会や研究会の開催などの新しい運動が次々に生まれていきます。こうして先覚者と伝統的工人の提携により、ヴェネチアン・グラスは窮地を脱出し、近代化の道を踏み出し始めました。

   
 
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〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48 TEL:0460-86-3111 FAX:0460-86-3114
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